2013年8月22日木曜日

九電では電力使用率97%超。政府や電力会社は今年こそ節電を呼びかけるべきだったのでは?


暑い暑いことしの夏
お盆も終わった今週、電力使用率が軒並み上がっています。

なぜお盆が終わって……、かというと、
基本的には電力使用率というのは
休日はそこまでは高くならないものなのです。

やはり、オフィスと工場が動いていて
人が決まった時間に活動する平日こそ、
電力の必要な時間が重なってしまい
おおきなピークができて、電力の使用率は上がります。

(オフィスではPCやサーバから出る熱も
 無視できないインパクトを持っています)

なので先週は全国各地で高温がつづいたものの
お盆休みのところも多かったので
そこまで電力供給については心配されていませんでした

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しかしお盆の開けた今週、
8/19(月)には九州電力管内で午後4時台に97%、
8/22(木)も中部電力では午後2時台に96%と、
ひじょうに高い電力使用率を記録しています。

(夏でも冬でも、連休開け初日というのは
 オフィスの空気が完全に熱され/冷やされきっているので、
 特に電力が必要となる日です

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ちなみに注意が必要なのは
たとえ電力使用率が97%だとしても、かならずしも
本気の余力が3%しかない、わけではないということです。

この電力使用率の「分母」はたえず変わりつづけうるものだからでます。

ですが、だからといって
「電力使用率なんてごまかしだ!」なんていうのもまちがっています。

その日いつでも立ち上げられるように準備しておく
発電所の数と発電量というのを、
電力会社の運転班の人たちは
昨年同日の実績や、当日の天気予報などをみながら
こまかく調整をしています。
それはムダをふせぎ、効率よく発電するための技術であり、工夫です。

試合開始時にベンチ入りするメンバーの人数を、
その日のコンディションにあわせて調整しているようなものですね。

なので、97%に届いたからといってすぐに
「すわ、停電!?」ということではありません。
ほかの選手を呼んできてプレイさせることになります。

(ですから、97%という数字だけを強調して
「やっぱり原発がないとダメなんだ」という
 論を展開するのは、もってのほかでしょう)

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ここで疑問なのは、
なぜ2011年にあれほど(そして2012年も)
「電力が足りない」「停電するかもしれない」という
節電キャンペーンをおこなったにもかかわらず、
ことしはそれがなさわれていないのか、ということです。

だって、「原発がないと電気が足りない」から
再稼働が必要なんですよね?

だったら、原発の動く予定のない年こそ
よけいに節電が必要なんじゃないでしょうか。

それに今後、たとえ一部の原発を再稼働していくことになったとしても
できる省エネの努力はつづけていくべきだというのは
だれにとってもあきらかなことです。

(この省エネというのは、
 熱中症になるまでエアコンをガマンしたりすることではありません。
 そういった方を増やしてしまった
 2011年の節電キャンペーンの罪は大きい、と思っています)

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では、ことしと、去年・おととしとの違いというのはなんでしょう?

この夏ははじめから、原発のあらたな稼働予定はまったくありません。

というのは再稼働してもよいかどうかを判定する
原子力規制委員会の審査基準が
この7月にリリースされたばかりだからです。

すくなくとも1基につき半年はかかるといわれる審査を経なくては
原発の再稼働はできません
(全国で12基の原発が再稼働を申請して、審査を待っています)。

だからこの夏は福井の大飯原発3、4号機が動いているだけで、
それ以外はふえる予定がないのです。

これではまるで、政府も電力会社も
原発の再稼働予定のない夏はつよく節電を呼びかけない、と
みなされてもしかたないのではないでしょうか?

もしそうであるならば、
節電は電力を節約することが目的なのではなく
原発の必要性をひとびとに認識させるための材料なのではないか、
とさえ勘ぐりたくなってしまいます。
(げすの勘ぐりであることを祈ります)

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日本は原発のほとんどない状態(福井の2基だけ)での夏を
2012年、2013年となんとか乗り切ろうとしています。

脱原発を政策として固めたドイツよりも
実質的には脱原発がすすんでいる国なのです。

(もはや「電気が足りない」という論では
 原発の必要性をうったえることができないほどです)

この夏はあらたな再稼働予定がないのですから
それこそ節電が必要な年だったはずです。

それをきちんとアナウンスもせず、
ただ97%、96%と使用率が高まったときだけ
ニュースにして記録を残しておく、というのでは
過去2年間の節電のよびかけ、そしてそれにともなう
みんなの努力はなんだったのか?と脱力せざるをえません。

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さて、ここまで書いてきましたが、
ことしはどうやらほんとうに記録的な猛暑なので
ムリせずエアコンを使って、熱中症にならないように
気をつけてみなさん残暑をお過ごしください。

とくに体温調節の苦手な赤ちゃん、ちいさな子、お年寄りの
いるおうちでは気をつけてくださいね。

エアコンはこまめにON/OFFをくりかえすくらいならば
朝8時頃から28〜30度でつけっぱなしの自動運転にして
扇風機を併用するのが、ピークカットにもつながっておすすめです。

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終わりに、日経新聞さんの記事を引用します。
やはりというべきか、電力使用率の高さと原発が稼働していないことを
リンクさせた書き方となっています。


日本経済新聞:九電管内の電力使用率、今夏最大の97%弱 
2013/8/20 0:20

 九州電力は19日、管内の電力使用量が今夏最大を更新したと発表した。午後4時台に1619万キロワットと、今夏で初めて1600万キロワットを超えた。供給力(1671万キロワット)に対する使用率は97%弱に上昇。電力需給状況も今夏で初めて「厳しい」水準に。九電は同日、停止していた松浦発電所1号機(長崎県松浦市、出力70万キロワット)の運転を再開しており、供給不足を紙一重で回避した格好だ。
 石炭火力発電の松浦1号機はボイラーの蒸気漏れが原因で、2日に運転を停止。破損や変形のあった配管36本を交換した。3月に停止した石炭火力発電の苓北1号機(熊本県苓北町)は配管の交換数がこの10倍を超え、再開まで3カ月近くかかった。
 この配管は蒸気タービンを使う石炭火力や石油火力では「共通の弱点」(九電)という。タービンを回す蒸気を作るために加熱するボイラー内の配管は、金属素材の劣化が避けられない。
 原子力発電所の長期停止でフル稼働が続く火力発電所は定期点検をできるだけ先送りしている。このため、他の火力発電所で同様のトラブルが発生する恐れもある。九電は20日も使用率が96%と「厳しい」需給水準を予想している。












 

2013年7月25日木曜日

参院選が終了した翌日に「汚染水の海への流出」を東電がみとめる

参院選の翌日だったために
それほど話題にならなかったような気がしているこのニュース。

まえまえから「これって海にもとうぜんもれてるよね??」と思われていた
福島第一原発の汚染水だけど、選挙のおわったつぎの日に
「やっぱりもれてました……」と発表されていたの。

すこしでも早く発表されていたなら
原発問題が、選挙にでかけるみなさんの目にいくらかとまったかも?

すこしでも遅く発表されていたなら
選挙速報も一段落して、もっとおおきく新聞やテレビにとりあげられていたかも?

と考えると、まるではかったかのように
(東電さんにとって)ベストなタイミングでの発表のような気も。

けっこう重要なできごとだと思うので
関連する記事をいくつかあわせて読み、ポイントをまとめてみるよ。


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東電、海洋流出認める 第一原発汚染水
福島民放 2013年7月23日

(前略)…東電によると、潮位や水位の変化のデータは各担当部署が管理していた。データを突き合わせたところ、21日になって潮位と水位の変化に連動性が確認されたという。東電福島広報部は「社内の情報共有が不十分だった」と謝罪した。発表が22日に遅れたことについては「国や県、漁協への通報を優先したため」としている

 東電は汚染水拡散防止に向け、薬液を注入して地盤を固める工事を1、2号機タービン建屋の海側だけでなく、放射性物質が検出されている5つの井戸周辺全体を囲むように拡大して実施する。3、4号機タービン建屋近くの観測用井戸の海側でも行う。井戸付近にある、トンネル内にたまった高濃度の汚染水については、処理装置で浄化する。トンネルをふさぐ工事も行う。

 港湾内の海水の放射性物質濃度は上昇傾向だったが、東電は推移を注視するとして、汚染水の海への流出を認めていなかった。原子力規制委員会は流出の可能性が高いとの見解を示していた


→規制委員会さんはまえから「もれてるんじゃないの?」と指摘していた
→東電さんは「データはあったんだけど、たまたま21日につきあわせて発覚した」
 「国や県への共有を優先したので発表がちょうど22日になった」と説明
→対策として、薬品で地面をかためて壁にする


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福島第1・高濃度汚染地下水 東電、海洋流出認める
河北新報 2013年7月22日

 福島第1原発の井戸水から高濃度放射性物質が検出された問題で、東京電力は22日、敷地の汚染地下水が海に流出したことを初めて認めた。「原発の港湾口付近の海水は数値が低く、汚染は原発近くの一部の範囲にとどまる」としている。
 東電によると、敷地内の地下水の水位と海水の潮位を調べた結果、地下水と海水の間に水の行き来があることを示す連動が見られ、汚染地下水の海洋流出が裏付けられた。
 井戸は地下水の汚染状況を地上からのぞく観測用で、海側に設けられている。1カ月前から高濃度放射性物質の検出が相次ぎ、8日には1リットル当たり最大の63万ベクレル(法定基準の約10倍)のトリチウムが出た。
 原子力委員会は10日に「地下水の海洋への拡散が疑われる」と海洋流出の疑いを指摘したが、東電は「海水の数値に有意な変動が見られない」と否定していた。…(後略)


→東電さんは、もれたのは認めたが「原発の近くだけにしかもれていない」と説明
→敷地内の地下水の水位と外の海水の潮位とが連動していることがわかり、
 もれていると判明
→規制委員会の「もれているのでは」の指摘を東電さんは否定していた


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福島第1原発:汚染水流出 公表姿勢に批判 規制庁「確認遅れは遺憾」
毎日新聞 2013年07月24日

(前略)…菅義偉官房長官が記者会見で「政府としても大変重く受け止めている。(海洋流出に関する)データは早急に公表すべきだ」と指摘するなど、政府内から東電の情報公開の姿勢について批判の声が相次いだ。
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は22日の記者会見で「18日に経済産業省や原子力規制庁に対し、海洋流出を裏付けるデータを提供した」と説明。しかし、茂木敏充経産相は会見で「18日の東電の説明は、流出を裏付けるデータが(東電社内に)存在するとの内容で、口頭にとどまっていた」と指摘した。
 規制庁の森本英香次長も「18日に提供を受けた資料では流出について断定できなかった」と語り、東電側と食い違いを見せた。その上で「流出の確認が遅れたことは遺憾だ」と批判した。

 東京電力は23日、福島第1原発の海側の観測井戸のうち一つで、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質の濃度が1リットル当たり15万ベクレルとなり、この井戸での最高値(1リットル当たり12万ベクレル)を更新したと発表した。…(後略)


→発表の遅さについて政府も疑問視
→海への流出は21日にはじめてわかったわけではなく18日にはすでにわかっていた
→さらに観測井戸では放射性物質の濃度が過去最高に


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社説:原発汚染水の流出/東電任せはもはや危うい
2013年7月23日

(前略)…原発の敷地内にある観測用井戸から2カ月前に高濃度の汚染水が見つかり、その後もずっと検出されていた。海に近い井戸の中の地下水から放射性物質が検出されれば当然、海への流出が疑われる。それでも東電は流出を否定した。
 今月になって、国の原子力規制委員会が高濃度の汚染水が地下に染み込み、「海に拡散していることが強く疑われる」と指摘しており、結局はその通りだったわけだ。
 外部から言われて追認する結果になってしまったのでは、当事者としての無能力ぶりを証明したに等しい。…(中略)…

 東電によると、海への拡散を見抜けなかったのは社内の連絡体制の不備が原因だという。潮位や降雨によって観測用井戸の地下水の水位が変化していたが、そのことが「社内で共有されていなかった」と説明している。…(中略)…何とも首をかしげたくなる話だ。

 福島第1原発には危険な放射性汚染水が少なくとも2種類ある。一つは海に近い作業用トンネルの中に、もう一つは原子炉建屋内にたまっている
 このうち建屋内の汚染水は地下水の浸入によって1日に400トンも発生し続け、重大な不安材料になっている。

 汚染水が地下水などとともにいったん海に出て拡散したら回収は不可能であり、是が非でも流出させてはならない。…(中略)…福島第1原発の廃炉作業はもはや、極めて緊急性が高い「国家プロジェクト」と位置付け本気で取り組むべきだ。一企業で担い切れないのは明白であり、早めに手を打たないと取り返しがつかなくなる危険性がある。


→東電は社内の連携ミスが発表遅れの原因といっているけど、ほんと?
 (隠したんじゃないの?)
サイト内には汚染水がおおきくわけて2種類ある(トンネルと建屋)
→事故処理は東電という企業一社の手に負えない
 手遅れになる前に国家プロジェクトにすべき


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福島第一原発の遮水壁、対策工事は難航
朝日新聞 2013年7月24日


(前略)…現場の1、2号機タービン建屋の観測井戸付近。折からの雨の中、作業灯の強い光に、土中で固まる水ガラス薬剤を注入する機械8台が浮かび上がる。10人の作業員が全面マスク、ヘルメット、白い防護服の上に雨がっぱを着た完全装備で作業していた。
 空間放射線量が毎時200マイクロシーベルトと高いため、2時間半ずつの2班交代で、午後7時から午前5時までの突貫工事を続けている。昼間しかできない他の作業との混雑や作業員の熱中症を避けるためだ。
 護岸に沿って薬剤を注入し、2列の遮水壁を造る応急対策。しかし今月8日から始まり、中旬には完成する予定だった1列目さえ、半分が完成したばかりだ。東電は、予想外の地盤の固さや熟練作業員の不足を、遅れの理由にあげる。
 「マンパワーの強化」を図り8月中旬の完成をめざす。だが同夜、現場を視察した赤羽一嘉・経済産業副大臣も「(東電の対応が)後手後手になっている」と認めた。

 また護岸の地中に造る遮水壁の効果について、原発事故直後から建屋を囲む遮水壁を造ることを提案してきた京大原子炉実験所の小出裕章助教は「海側だけ造っても汚染水はやがて脇から流れ出す」と指摘する。
 東電は、汚染水の広がりは「汚染拡散を防止するシルトフェンスで囲まれた領域に限定されている」との見方を示す。しかし小出助教は「トリチウム(三重水素)の構成要素は水そのもの。水の出入りを完全に止められないシルトフェンスでは拡散を防ぐには無力だ」と効果を疑問視している。


→土に水ガラスを入れてかため、壁にしようとしている
→現場は線量も高く、昼間の暑さのため、作業がはかどっていない
→経産副大臣さんも対応の遅さを認めている
→東電さんは「海にもれてるけどフェンスがあるからだいじょうぶ」といっているが
 専門家は「海のフェンスでは防げない。また、地盤をかためても横から漏れる」と指摘


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2013年7月22日月曜日

参院選終了、しかし原発再稼働は国政では決まらない

参院選が終了して、
「もんじゅ君、自民党が勝って残念だったねぇ」と
たくさんの方にいわれました。

ボクは高速増殖炉として、つねづね
「はたらきたくないよ」「おしごとやめたいよ」と
後ろ向きの発言をくりかえしています。

なので、原発をぶんぶん再稼働していくつもりの
自民党さんが大勝したことは
たしかに残念なことかもしれません。

しかし、ものごとには期待値というものがあります。

選挙期間中、ずっと「自民圧勝」ときかされてきた以上
これはさほど驚きのある結果ではなく、残念というよりは
ひとつのできごとが終わって落ち着いた感じさえします。

(選挙期間中、脱原発を掲げる候補のごく一部には
 極端な言説に走る人もいたため、
 十把一絡げに「脱原発=極端」というイメージがひろまったら
 悲しいなぁ、とハラハラしていたというのもあります。
 それが終わったことにはちょっとほっとしました。)

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ところで、もし
「衆参のねじれもなくなり、自民党が両院で与党になった。
 これでどんどん原発再稼働がすすんでしまう」
と思っている人がいたら、ちょっと思い出してみてほしいのです。

去年の福井県の大飯原発3号機、4号機の再稼働の
「決定」について憶えているでしょうか?

あのとき、再稼働の決定を最終的に出したのは
いったい誰だったのでしょう?
誰のゴーサインが最後の決め手だったのでしょうか。

内閣でしょうか?
経産省でしょうか?
関西電力でしょうか?
福井県でしょうか?
敦賀市でしょうか?

これがほんとうにわかりにくいのです。

再稼働に、正式に「ゴー」を出すために
あのとき、予定されていなかった会合や会談が何度もひらかれました。

それらの打ち合わせではなにが話されていたのでしょうか?
もしかして、なにも話されていなかったのではないでしょうか。

きっと、「話し合いの場を持った」という
事実そのものをつくるために
なんども会合が重ねられたのです。

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はたしてほんとうに動かして大丈夫なのか?
直下型地震がきたときに耐えうるのか?
過酷事故が起きたときに対応できるのか?
重要免震棟は?
防潮壁は?
住民の避難は?
ヨウ素剤の配布と服用は?

そもそも、電力はほんとうに足りないのか?
(ちかごろでは、二度の夏と冬をすでに
 すくない原発で乗り切ってしまったため、
 足りないという話さえもしなくなってきました……)

こういったたくさんの疑問に対して、
当事者であるはずの
内閣も、
所轄官庁も、
事業者も、
自治体も、
みんな自信をもって答えることができません。

だから、再稼働に責任をもちたくない。
だけど、再稼働はしたい。

その矛盾した思いが
なんども繰り返された話し合いにあらわれていたのだと思います。

みなでパスを回しまくり、もつれこむようにして
再稼働というゴールへなだれこんだために
だれがシュートしたのかわからない、という作戦です。

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北海道の泊原発、
福井の大飯原発、高浜原発、
愛媛の伊方原発、
佐賀の玄海原発、
鹿児島の川内原発、
これらの6原発、12基の原発について
これから原子力規制委員会による再稼働の審査が始まります。

当初は、1基あたりすくなくとも半年から一年程度の審査期間が必要で
同時には3基程度しかすすめられない、という話でした。

しかし、再稼働の申請時には
北海道電力の副社長が「冬の需給は厳しく、1基でも稼働できれば」
関西電力の常務が「できれば全部同時に審査していただきたい」
と語るなど、電力会社も自民党政権になってからは
強気で前のめりの姿勢を強めています。

どれくらいの時間がかかるのかはわかりませんが
はやければ冬をむかえる前に
「再稼働してもよい」というお墨付きを与えられた
原発がでてくるかもしれません。

しかし、それはイコール、再稼働を意味するわけではありません。

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原子力規制委員会が審査をして
「ノー」がでれば、それはあくまでも「ノー」です。
基準を満たしていないのだから、そんな原子炉は運転できません。

しかし原子力規制委員会の「イエス」はそのまま「イエス」ではありません。
物理的に「イエス」だ、という判断は出せても
規制委員会が再稼働の政治的な責任まで負うわけではないからです。

2012年夏の大飯原発再稼働でそうであったように
原発立地県の知事は
「しっかりと総理に責任を持って再稼働をすすめていただきたい」
というような表現で

「あくまでもこれは国の決定、国の責任なんですよね。
 県はお国のために電力を供給するのです。
 運転についての決定責任はないのです」

とアピールしながら、再稼働へのゴーサインをねだるのではないでしょうか
(自治体の首長さんへの意地悪な表現になってしまってごめんなさい)。

そのとき、立地自治体ではどのような反応が起こるのか?

なにも起こらないのか?

それとも
「事故が起こらないと確約できるレベルになるまではやめてくれ」
「万が一、事故が起きたときの事故収束と避難のプランを示してくれ」
というふうに、再稼働にストップをかける抗議運動がでてくるのか?

そこが再稼働のいちばんのポイントなのではないかと思うのです。

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日本は、国としては脱原発を決めていませんが
いまはほぼ事実上、脱原発を果たしてしまっています。

50基ある原発のうち、もうずっと1年以上、
関西電力のもつたったふたつの原子炉しか動いていません。

北海道電力、東京電力、中部電力、
中国電力、四国電力、九州電力の供給エリアでは
すでに1年以上の脱原発の実績があるのです。

関西電力についても、
稼働している大飯2基がなかったとしても
2012年夏の需要は満たすことができた
(=もし原発がなくても、一年でいちばん
  電力の必要になる季節でさえ足りていただろう)と
当の事業者が昨年の秋にみとめています。

歴史的で感動的な政治的決定などなくても
この「事実上の脱原発状態」を
いかにずるずるとなんとなくつづけていけるのか、
事実上の「なくても足りてしまっている」期間をのばしていけるのか、は
じつは個別の立地自治体の態度にかかっているのではないかと思います。

だから、原発再稼働は国政では決まらないのです。

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たとえば県知事がしっかりと
事業者である東電への不満、不信を口にしている新潟県。

けっきょく東電は柏崎刈羽原発の再稼働申請をまだ出せていません
(参院選後には出すという見方もありましたが、どうでしょうか)。

県知事がアピールするだけで、
もう再稼働申請のハードルはぐっと上がるのです。

県知事がそうでなくても、再稼働の申請がみとめられたあとでも
そういった局面はいくつもあるはずです。

ひとつひとつの原発をかかえる町を、市を、県を、
いかに原発なくてもやっていけるように応援していけるのか。

いざ再稼働がさしせまったときに、
「ほんとうに危なくないのか?」という疑問を
いかに地域の内側から効果的にアピールし、
日本全国にむけて発信することができるのか。

そういうところで再稼働のじっさいは
きまっていくのではないでしょうか。

だからいまの状況では、
衆院選や参院選といった国政選挙で
再稼働が決まるわけではないのです。

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脱原発は、安全とか被曝とか放射能といったキーワードだけでは
ある程度までしかすすめないかもしれません
(もちろんそれらのトピックはほんとうに大切なことです)。

脱原発は、エネルギーの問題でもありますが、
原発をかかえる新潟や福井のような立地自治体にとっては
まさに「おさいふ」の問題でもあります。

これまで原発にともなう交付金や寄付金で
財政をたすけられてきた自治体が
どうやって納得感をもってそれとバイバイすることができるのか
(現実的には代わりのお金が必要でしょう、
 そしてそれこそ国政が決めることでしょう)。

今回の参院選、都市部では脱原発候補が躍進しました。
都会にはあれだけの数の危機感を持つ人たち、候補に共感する人たちがいて
投票というアクションを起こしたのだ、ということに
ボクは驚きましたし、とてもすごいことだと思います。

そういったうねりがどうすれば
立地自治体の「背に腹は代えられない」
「でもやっぱり心配。こわい」という
リアリティのある気持ちと結びついていけるのか、
(それともそのふたつはやっぱり別のもので
 いっしょにはなれないのか??)
いまはそれが気になっています。

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原発の問題は「都会といなか」の問題でもあります。

電気をつくる工場を
「これはあぶないから、都会から離れてる場所、でも
 運ぶのにはちょうどいいくらいの場所につくろうよ」と、

福島とか新潟とか福井といった
大規模消費地から「遠すぎないいなか」に
いくつも建てたのです。

そして、その県のなかでもとくべつ人のすくない
あんまり産業のないところを選んでその工場は建ちます。

「都会が原発をいなかにおしつけた」というような
ことをよくいうけれども
いなかの中にも、さらに都会といなかがあるんです。

原発銀座は福井の中でもとくにいなかのほうにあるから
おなじ県内でも、遠くの県庁所在地あたりの人とかは
あんまり原発のことを気にしていなかったりします。

原発にはそういった
「都会/いなか」の関係が何重にも入っています。

原発事故が起きていまだ収束せず2年と4か月、
昨夏の首相官邸前など、
再稼働への抗議行動の盛り上がりから1年。

もしかして脱原発をめざす動きのなかじたいにも
またしても「都会/いなか」の
対立ができてしまうんじゃないだろうか……。
(杞憂だったらいいと思いますが)

なるべく多くの人たちで問題意識をシェアしていくには
どうしたらいいんだろう、と考えた参院選の期間でした。






2013年7月19日金曜日

参院選直前!3分で全体感のわかる、おすすめの選挙情報サイト集

こんにちは。ボク高速増殖炉もんじゅは活断層の調査をうけていて
ちょっとそわそわしていますが、
いよいよ今週末の日曜は参院選の投開票日。

「もう期日前投票したよ!」っていう人も少なくないと思うけど
「どこに入れたらいいのか、まだ調べてない」って人も多いんじゃないかな。
そんな人のために、おすすめの選挙情報サイトをご紹介します。

参院選は候補者さんが多いので、いきなり投票所にいくと
名簿をみてもよくわかんなくなっちゃうおそれもあります。「まだ投票先を
決めていないよ」という人は、さらっとネットでチェックしてからどうぞ。



◆あなたの意見と相性のよい政党を教えてくれるマッチングサイト

毎日新聞 えらぼーと
質問が細かいぶんだけ、すこし時間はかかるけれど
ていねいに自分自身の考えをふりかえることができて◎。
こんなにたくさんみるべきテーマがあるんだな、と勉強になります。

ヤフー!参議院選挙2013
ささっとマッチング結果を知りたい人におすすめ。
質問数がすくなめです。

東京新聞 あなたの考えに近い公約は?
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013070602000244.html
これはマッチングサイトではないけれど……
争点を憲法、原発、TPPにしぼって各党の主張をコンパクトに要約。
画像1枚ものの記事なので、読むには早くて便利かも。


◆テーマ別に候補者のこれまでの発言を教えてくれるサイト

ポリタス
こういうサイト、じつは意外とこれまでなかったので、
ほんとにできてよかった!と思います。
気になるテーマをクリックすると、候補者の関連する過去発言が読めるというもの。
津田大介さんが参院選にあわせてローンチした新サービスだそう。


◆みんなはどんなことに関心があるの?がわかるサイト


Google 未来ををつくろう


選挙情報というよりも、サイトを訪れたほかの人たちが
どんなことに関心をもって今回の選挙にのぞんでいるかが
ビジュアルでよく伝わってくるサイト。いろいろあるけど
ビジョンを持ってがんばろう、って気持ちになれます。


◆映像で雰囲気がつかめるサイト

NHK 2013参院選
地方の参院選ニュースもきちんとアーカイブされているので便利。
そもそもの選挙制度のしくみや出口調査の手法についてなど
選挙に関するコラムも充実しているので
「選挙ってなんだろう?」と学んでみたい人にもおすすめ。
子ども向けというわけではないけれど、お子さんの調べ学習にも使えそう。

テレビ東京 各党が参院選で一番訴えたいこと
「そもそも党が多くてわかりにくい!」という人にぴったりのページ。
党の顔である幹事長や代表がコンパクトに公約をしゃべってくれています。
顔つき、身振り、しゃべりかた、書き文字……
ノンバーバルメッセージというか、言葉以外の情報がとてもよく伝わってきます。

TBS 決戦!夏の参院選2013
映像の数はすくないけれど、TPPや年金問題などについて
取材してコンパクトにまとめたものがみられます。


◆経済、エネルギー、憲法……個別テーマのおさらいサイト

朝日新聞 キーワードで読む選挙
アベノミクス、一票の格差、再稼働、普天間、消費増税……
話題のキーワードについて、ひとつずつ解説。


◆ネット選挙解禁!!にフォーカスしたサイト

NHK はじまる!ネット選挙
http://www3.nhk.or.jp/netsenkyo/
テーマを「ネット選挙とはなにか?」にだけ絞っためずらしいサイト。
あまりみられていないような気がしますが
イラストやグラフがみやすいので、小・中学生が読んでもわかりやすいかも。
自分の「すんでいる都道府県・年代・性別」を入れるとその投票率がみられます。
ちなみにボクの住む福井県は全国3位の投票率でした。


◆まだまだある……! オルタナティブな選挙情報サイト

VOTE OR DEAD!!!!!!
http://ikinasaiyo-senkyo.com/senkyo.html
かわいいクリエイティブのウェブサイト。
各党の主張をイメージイラストつきで解説しているほかに、
憲法改正についてのマンガが力作ですごいです。
サヨナラアトムという、脱原発をテーマにした
クリエイターさんのチームがつくっているそう。

エコ議員つうしんぼ
http://www.giintsushinbo.com
政策評価サイトとしてはけっこう古く、2009年からあるもの。
各議員に環境問題に関連する政策についてのアンケートをとって、
その回答を掲載しています。

「あなたの選択」プロジェクト2013
http://coalitionagainstnukes.jp/wp-content/uploads/2013/07/choice_ver03.pdf
再稼働、核燃料サイクルなど原子力政策の個別テーマについて
各党の主張をまとめたサイト。
ドクロマークが描いてあったりしてビジュアル的にはちょっとこわいけど、
原発問題についてはとてもよくまとまっています。



「投票いくの正直ちょっとだるいかも……」っていう人も
ぜひぜひ、日曜日はおさんぽがてらだいじな一票を使ってみてね。
どうか暑くなりすぎず、ゲリラ豪雨も降らず、選挙日和の日曜日になりますように。








2013年5月29日水曜日

もんじゅに停止命令!いっぽう、各地の原発は再稼働にむけて準備を着々と…?



ついに、ボク高速増殖炉もんじゅに対して正式な停止命令が出されることが決まったの。
「もんじゅはあぶない」「やめろ」と折りにふれていってきてくださったみなさんには、厚く御礼申し上げますだよ。

東京新聞『もんじゅ 来月活断層調査 使用停止を正式決定』2013年5月29日 13時56分 
 点検漏れ問題では、昨年十一月に重要機器も含め一万点にのぼる漏れが発覚。今年二月の規制委による立ち入り検査でさらなる漏れが見つかった。機構の幹部らの間で安全を軽視する姿勢も確認されたことから、規制委は二十九日、原子炉等規制法に基づく使用停止命令を出すことを正式に決めた。
 機構には弁明の機会も与えられたが、「深刻に受け止める」などと、弁明しないことを規制委に文書で報告していた。
 この問題では、既に機構の鈴木篤之前理事長が辞任した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052990135630.html

今回の命令は、メディアによって「禁止命令」「停止命令」などいろいろないいかたが使われているけれども、要するに「ちゃんと安全管理できるようになるまで、原子炉もんじゅを使っちゃダメ。再稼働の準備もしちゃダメ」というもの。

けっして、これで「廃炉」とか「研究中止」というわけではないのね。
サラリーマンさんでいえば「出勤停止」とか「謹慎」みたいな感じ。

ただ、以前からボクのおしりの下には
「活断層があるんじゃないか?」
という指摘がなされてきていたの。それに対してボクのパパのJAEA(日本原子力研究開発機構)は
「えっ、あれは活断層じゃないよ」
「たぶん、あれは動かないと思う」
とつっぱねてきたんだけれども、それについても今回、規制委員会の調査が入ることになったの。
もしこれで正式に活断層だ、という結論が出れば、いっきに廃炉の可能性は高くなるんだよ。

同じく東京新聞『もんじゅ 来月活断層調査 使用停止を正式決定』
 原子力規制委員会は二十九日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の敷地内の断層が活断層かどうか、外部の専門家チームによる現地調査を六月中旬~下旬に実施することを決めた。
 専門家チームは、富山大大学院の竹内章教授、千葉大大学院の宮内崇裕教授ら四人で、規制委の島崎邦彦委員長代理がまとめ役を務める。六月十三日に事前会合を開く。

ボクもんじゅは、冷却材にお水ではなく、ナトリウムという「空気にふれただけで燃えだして、水をかけられると激しく爆発しちゃう」物質を使っているんだ。そのうえ、ふくいち君をはじめとするふつうの原発にくらべると、配管が薄くて華奢なんだよ。

だから、地震が起きて配管が破れてナトリウムが漏れだしたら、それだけで火事になっちゃうの。じっさいに、1995年には配管が破れたことでナトリウム漏れ火災事故を起こしているんだよ。
そんなわけで、ふくいち君のようなふつうの原発よりもずっと危ないんじゃないか、といわれているボクもんじゅ。もし真下に活断層があるなら、ますますこわいよね。

そして、ボクに停止命令が出たいっぽうで、こんなニュースも。

NHK『高浜など4原発 運転再開向け7月申請へ』5月28日 4時15分 
 NHKが原発を持つ電力会社10社に取材したところ、少なくとも4つの原発が、運転再開に向けて、ことし7月に新基準に基づく申請を行う計画を進めていることが分かりました。
 計画を進めているのは、関西電力が福井県にある高浜原発の3号機と4号機、四国電力が、愛媛県にある伊方原発3号機、九州電力が鹿児島県にある川内原発の1号機と2号機、それに北海道電力が泊原発の1号機から3号機で、合わせて8基です。
 4つの原発以外にも、九州電力が佐賀県にある玄海原発の3号機と4号機について、早期の申請に向けた準備を進めているほか、日本原電は、規制委員会が「原子炉の真下を走る断層を活断層」と判断した、敦賀原発2号機について、時期は明らかにしていませんが申請するとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130528/k10014885831000.html

安倍政権になって、民主党時代に決まった「原発ゼロをめざす」というエネルギー政策は根本からみなおすとか、原発の輸出を強化していくといった方向性がうちだされているよね。そういった状況のなかで、ことしの7月に原子力規制委員会が策定することになっている「再稼働のための新基準」がかたまりしだい、電力各社は再稼働の申請を国に出すつもりでいるみたいなの。

そもそも新基準がスムーズに決まるのかどうか? また、新基準にあわせて各原発がさまざまなハードルをクリアすることができるのか? というギモンもあるし、じっさいに審査にあたる原子力規制庁は「審査には1基あたり半年から1年ほどかかる」とはいっているから、すぐに動かせるものではないわけだけれども、ちかい将来また再稼働が話題にのぼることはまちがいなさそう。

夏になれば「原発がないと夏がのりきれない」、冬がくれば「原発がないと冬がのりきれない」というおきまりのフレーズをまたきくのかと思うと、ちょっと気分が萎えちゃいますだね。



2013年5月15日水曜日

高速増殖炉もんじゅの黒歴史が3分半でわかる「もんじゅ君音頭」



国の原子力規制委員会さんから停止命令が出たボクもんじゅ。

「もんじゅってなに?」
「高速増殖炉ってどんなもの?」というギモンにお答えするべく、ボクもんじゅの黒歴史を3分半に詰めこんだ「もんじゅ君音頭」があるので、歌詞をUPしておきますだよ。




もんじゅ君音頭


1番

おなかのなかには ナトリウム
空気にふれたら 燃えちゃうよ
水にふれたら バクハツするよ
火事になったら どうするの

燃料棒には プルトニウム
飲んじゃダメダメ 猛毒だ
半減期は 2万4千年
原爆水爆 つくれちゃう

年間 予算は 200億

夢の原子炉と いうけれど
いつまでたっても 夢のまま
やめておくれよ もんじゅ君


2番

思いついたの 60年代
つくりだしたの 80年代
動きはじめた 90年代
だけどまだまだ 未完成

あれはさむい 冬の夜
運転はじめて 3ヵ月
とつぜんもれだす ナトリウム
火事がおきても 事故かくす

年間 予算は 200億

夢の原子炉と いうけれど
これじゃさめない 悪夢だよ
とめておくれよ もんじゅ君


3番

ふつうの原発に くらべたら
配管うすくて もろいのよ
ふつうの原発に くらべたら
原子炉暴走 しやすいの

アメリカ イギリス やめちゃった
フランス ドイツも やめちゃった 
お金かかるし むずかしい
あきらめないのは 日本だけ

年間 予算は 200億

夢の原子炉と いうけれど
事故が起きたら 琵琶湖はアウト!?
ハイロになりたい もんじゅ君

もんもん もんじゅ ハイハイ ハイロ
もんもん もんじゅ ハイハイ ハイロ



もんじゅに停止命令、ついに出る。今後はJAEAや文科省の出方に注目を




ついに、ボク高速増殖炉もんじゅにたいする「事実上の運転停止命令」が出ることに決まったの。
「もんじゅはいらない」って声をあげてきてくださったみなさん、ありがとうございますだよ。

朝日新聞 2013年5月15日
もんじゅ再開作業停止 規制委、安全管理体制改善を命令 
 原子力規制委員会は15日、1万個近い機器の点検を怠っていた高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、日本原子力研究開発機構(JAEA)に対し、原子炉等規制法に基づき、安全管理体制の改善を命令することを決めた。
 もんじゅは、本格稼働を前にした試運転の際のトラブルで現在停止中。すべての機器の点検や再発防止策を確認するまでは、再開に向けた準備作業を認めない。原子炉の起動に必要な核燃料の交換などの作業を禁じるため、事実上の停止命令になる。これで、同機構がめざしてきた今年度中の再開は難しくなった。
 規制委がまとめた調査結果によると、昨年9月の保安検査で点検放置が発覚した。その後の調べで、点検を怠っていた機器の数は、2010年以降で計9847個に上ることがわかった。
http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY201305150141.html

国の原子力規制委員会さんから、5月中にも正式な命令が出るみたい。
ボクのパパのJAEAから、それにたいして申し開きというか言い訳をする場も用意されるみたいなんだけど、どんなことをいうんだろう……?

4月もボクもんじゅの所長さんは「もう大丈夫、大丈夫。しっかりする」といっていた矢先に、下のような黒煙トラブルを起こしていたのね。いつもの「やるやる詐欺」みたいなことにならないよう、しっかりみはっていかなくちゃ。

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 ‎2013年4月30日‎
もんじゅ、非常用発電機で黒煙=保安規定違反状態に—原子力機構  
 日本原子力研究開発機構は30日、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の非常用ディーゼル発電機で、試験中に黒煙が発生したと発表した。3台ある非常用ディーゼル発電機のうち、1台が点検中で、もう1台が黒煙発生により一時的に動かせなくなったため、「2台が稼働可能であること」と、安全上の最低条件を定めた保安規定に違反する状態となった。
 同機構によると、黒煙が発生したのは30日午後2時25分ごろ。発電機上部の配管を閉め忘れて動かしたため、すすなどが混ざった空気が噴き出したと考えられるという。
http://jp.wsj.com/article/JJ12205579073223154084018827438263206395294.html

今回の改善命令は、原子力ムラにおいてはかなり厳しい処分(ふつうの企業でこれだけの不祥事が出ていれば、とっくに営業停止どころかつぶれているだろうけど)。
ボクもんじゅを管理するJAEAのさらに上位組織である文科省がどのような対応にでるのか、注目ですだよ。
きのうは処分が出るまえに先手を打って、文部科学大臣さんがこんなふうにコメントを出していたよ。

時事通信 2013/05/14
「安全強化、厳しく指導」=規制委もんじゅ処分方針で-下村文科相 
 下村博文文部科学相は14日の閣議後記者会見で、多数の機器に点検漏れがあった日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」に対し原子力規制委員会が処分の方針を固めたことについて、「安全確保の体制強化、再発防止の徹底を厳しく指導した上で、政府全体のエネルギー計画の中でもんじゅの位置付けを明確にしていきたい」と述べた。
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2013051400241

停止処分中こそ、これまでに1兆円以上の国費、30年以上の歳月を費やして、わずか4か月しか運転していないボクもんじゅの研究をほんとにつづけるのか?を議論するチャンスなんじゃないかな。